えっちゅう
くまの川
たかはら川が描写された新田次郎の作品中の主人公はくまの川の流域の生まれで、槍ヶ岳を開山したと描かれている。実在の主人公の生家はくまの川の上流にありと地図に示される。
ここもやはり夜明けに立ち込む目的地ではなく、帰り道に残った餌で遊んでみようかというときしか立ち寄らない川だ。餌が残るということは本命の渓流で喰いが渋かったというわけで、手軽に寄って数匹でも追加しようという欲の皮の突っ張った釣行が引き金となる。
田圃と畑の中に屋敷林の点在する典型的越中平野の風景の中を立山連峰の冷たい水に農業用水に回され温まった水を混ぜて流れる春の里川には、稚魚放流のヤマメが無数に浮かんでいることがあり、本命の年越し放流ヤマメに届く前に餌を空にされることが多かった。
それでもなんとか2〜3匹追加すると昨夜来の疲れがドッと出て来て胴長を脱ぐのもそこそこに車のシートを倒して昼寝となるパターンだった。
渓相のわりに水生昆虫も多様で、夕方毛鉤で狙えば面白かろうなどとツレと批評だけはするが、とてもその時間まで釣る気にはなれない疲れ具合となる。
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