おおの
まな川
地図を広げてダム湖の上流へ行くか下流へ行くか、地形も読んで出かけるのは楽しいものだ。まな川の下流は知人に同行して連れて行ってもらったが、上流は渓流シーズンのオフに開拓した。
まな川下流は稚魚放流が濃くて釣り人が割と少ないとの話につられてダムから5km程下流で餌釣りとなった。一面の葦の川で泥がまとわりつく川岸はズブズブと沈むところが多く、ダム湖下流の特徴的なささ濁りとなっている。外道のウグイは多いもののアマゴのアタリが頻繁にあって、餌切れを心配するほどの漁となった。ここのサカナもやはりお腹に線虫を持っていて、早々に腹ワタを抜いてクーラーボックスへ放り込む。
渓流が禁漁となった秋にキャンプ仲間とダム湖バッウォーターで焚き火をしてテントを張ったが、ちゃっかり釣り道具は持ってきているわけで、夕方コソコソとテント前の流れにテンカラを振ると、5月頃放流されたであろうチビやまめが飛びついてきてススキの穂の中に満足の笑顔をかわしあった。
朝になってガソリンコンロで湯を沸かすとか、カップに水を汲んで歯を磨くとか俗事を始めた頃、大きな鳥が川向こうの山でバサバサと枝を揺すっていた。双眼鏡を取り出して観察するとワシ・タカ類と判る幼鳥が今しも飛び立つところだった。飛び立ってはみたもののすぐに林の中に引き返したりして暫く眺めていたが高く舞い上がった後ダム湖の向こうへ消えていった。何だ何だ、スゲエぞ、ワシなのかなどと言い合っていたが頭部の形からクマタカと判った。この辺りは数少なくなったクマタカの生息地らしい。
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