おがみごう 川 |
奥美濃でも飛騨でも林道にはゲートがついて鍵がかかっていることが多い。たいていはゲート前に車を停めて渓まで徒歩で行く。稀にいつも閉まっているゲートが開いていたりするとついつい車を乗り入れて奥へ奥へと向かってしまう。ダイヤル式の鍵が多くてこれこれのゲートは○○番と風のウワサに聞いては居るので、よもや帰りに閉まっていても大丈夫だろうと舌を出しつつアクセルを踏むこととなる。 ここも釣りクラブのメンバーに教えられてポンコツを乗り入れることとなったがいやはや道が悪いこと、キャンプ道具を積んで最奥部まで行ったときはとうとうタイヤをバーストしてしまった。ヘッドランプを頼りに泣く泣くジャッキアップしているとその先になんと2WDの乗用車が2台も止まってテントを張っている。車重が重いが為のサイドカットであった。 流量は支流にいくつもある自動開閉式の放水門やオーバーフロー式堰堤に水を取られて渇水気味だが、ひとたび増水すると信じられないくらいの水嵩となる。やや高めくらいなら下流域から遡行できるので適当な空き地があれば車を停めて渓までずり降りる。源流部には7月でも雪渓が残る谷があり、春先の冷たい水を割って遡行するといつもヒレピンのアマゴに出会うことが出来た。 全域を遡行するには谷が深く、ところによってはかなりの高巻きとなる淵もあり、岩の上から覗くと竿の届かない蒼い水底に尺と思われるイワナが何匹もゆらめいているのが見える。支流に入ると水が一層透明になり餌釣りよりも毛鉤のほうが面白くて何度もイワナを見ながらテンカラを振ったものだ。 白山国立公園の東端となるこの谷もブナの原生林に覆われていたが、おきまりのように旧林野庁の予算消化の為にブナの皆伐が行われ、豪雪地帯では絶対採算の取れない林道を標高の高いところまで削って杉を植えるようになった。ユンボを積んだトラックやチップにするブナの古木を積んだ森林組合の車両とすれ違うようになってから自然と足が遠のくようになった。 |