どうぜん | このサカナを知っている人はたくさん居ると思う。ただ地方地方で呼び方が違い、別に珍重されるわけでもないので忘れられている。 カマツカという名前で清流の綺麗な砂地に住む。 裏の大川では下流域にしか生息せず、専門に釣ろうという者もなく鮎釣りの鈎にひっかかってくるのでお目にかかれる程度や。 幼い頃にしか口にしたことが無いので定かではないが、「鮎も同然(どうぜん)で美味しいんやでぇ」といって台所の土間で家人が嬉々として鮎と一緒に焼いていたような記憶がある。臭みのない白身の魚だったように思う。 関西の大河で竿を出し鮎を追っかけるようになるとあちこちの川でこいつが引っかかってきた。ありた川では20cm位と、なかなか大きなサイズの“どうぜん”が引っ掛かりびっくりしたこともあった。 今でも地元の川に住んでいるとは信じたいが、ゲームフィッシングの対象でもなし、季節の味覚として珍しがられるわけでもないのでもうここらでは絶滅したかも知れない。とぼけたような“どうぜん”の顔が思い起こされる。 |