ありた川 「フナ釣りとコイ釣り教えてもらったんで、アユ釣りを教えてあげますよ」とかおだて上げ、先輩を誘って最初にでかけた時はありあわせの道具を積んで、スポーツ紙の情報どうりのオトリ店を探して地図を頼りに解禁間もないありた川へ入川した。5月の末だったと思うが、夜到着して川面をヘッドライトで照らすと、川エビの目玉が光るのを初めて目にしてアユタモで追っかけてみたりした。この時は解禁直後でアユが小さいこともあり、情報収集の未熟さが露呈し親指の先くらいの太さの稚アユが群れの中でイカリ鈎に引っかかってきたのが2匹、先輩が8匹(?)という貧果に終わった。これが最初のありた川。
帰ってからはスポーツ紙でさらに各地の釣果をチェックするようになって、ベースの大阪から日帰りで行ってこれる釣り場をいろいろとリストアップしていった。この頃無理やりにローンを組んで念願の新しい大型4WDを手に入れたこともあって、「これでクルマの中で寝れるし完璧やナ」と一層夜勤当番に励んで燃料代を捻りだそうと頑張った。年収ほどもの借金の重さは後から思い知ることになるのやが・・。
道具は揃ったし場所もわかったってんで今度は一人で再びオトリ店を訪れると「今日は良く上がると思いますよ、沢山釣れたら帰りも寄って下さい」と見送られる。教えてもらったポイントは平日ということもあって貸しきり状態のチャラ瀬、早速野アユをGETして昼飯もそこそこに新しいカーボン竿で引き抜きを連発、納竿までに三十数匹をオトリ缶に入れて朝のオトリ店へ寄ってみた。「良く釣れましたねー、数えて写真撮って明日の報○スポーツに載せますよ」と言ってくれた。これはこれはと有頂天になり、翌日スポーツ紙を見てから早速先輩に連絡した。
釣り情報欄にのったのは後にも先にもこれ1回っきり。
その後地元に帰ってからも先輩はアユ釣りにハマってありた川を始め近畿圏を総ナメにして各スポーツ紙に何回も載ったらしい。後で先輩の母上と話すことがあったとき、「ほんとにもうこんな釣りを教えてくれたもんだから、遊び歩いてばっかりでどないしてくれますのん」と関西弁でお小言を頂きました。
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