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かわごい 最初はたくりで捕った。大川に逃げてきたこいは池鯉で珍重されたがかわごいは小骨が多いからとあまり相手にされなかったようだ。それでも鮎の網漁の時は、酢味噌を用意しているオッサンがおって、40cmクラスのかわごいを川原で捌いてビールの肴にするヒト達もあったようだ。
盂蘭盆前の第1回目の網漁解禁の時に、オヤジのグループと一緒に大川の下流へ入って荒瀬の岩の下から引っ掛け上げてきたかわごいはいかにも美味そうで、貰って帰ってウチで洗いに造ってビールを飲んだら箸が進んで、二人でまるまる一匹喰ってしまった。捕って来て直ぐでも池鯉のような臭みがまったくなくて、小骨さえ上手に切り別ければ最高の洗いができたナ。
ながら川でのサツキマス釣りが有名になり始めた頃、これは釣らねばとルアー竿一式を入手して、赤だの黒だのとルアーをとっかえひっかえポッチャンポッチャンし始めた。メップスというタイプやスピナーなぞに茶色の毛がついたのをグリグリと引っ張っていると、決まってこのかわごいが咥えにくる。本流のかわごいはでっかいもんだからルアー竿が満月となり、ラインを切られないように引きずり上げるのに苦労した。曲がった竿を見て回りのギャラリーからは声が上がるが、かわごいとわかった後にはニヤニヤ笑いに囲まれて、リールのドラグを引き出す音もむなしくひたすらルアーを失うことのないようにと願うばかりであった。