きよみむら
まぜ川
イナカへ帰って勤め始めたとき、職場の先輩から誘われた最初が確かまぜ川やった。同じ頃ひだたかはら川も行ったはずだが、たぶんこっちが先。その頃まぜ川の解禁は3月1日で、残雪の土手を降りて国道脇の流れに立ちこむ。地元の大川からしたら水量も少なく見えたがそれは透明度が高いためで、しっかりとエサのキンパクが底を流れないと全然アタリすらとれなかった。解禁直後だというのに稚魚放流モノがほとんどで、綺麗な魚体が次々とビクに収まっていくのが嬉しかった。
「どうやー?」と先輩に声をかけられて「まあまあやー」と返事して先輩のビクを見るとビクの口のところまでぎっしり。なんでこんなに違いがでるのー!?と、自分では結構釣るほうやと密かに自負していただけに愕然として唇を噛んだ。
それからというものは、ながら川支流で鍛えられた先輩をどんどん渓流へ誘って付きまわり、ビク持ちとまではいかないがなんとか技を盗もうと必死になった。
それまで子供の頃からの体験でしかあまごの居る場所を知らなかったが、深い淵でもチャラ瀬でも、サカナの定位している場所を推理して“食い波”を探して粘るという釣り方がとても新鮮で目からウロコが2枚も3枚も落ちることとなった。
まぜ川は放流のイワナが大きく育つところで、あまごのようにパーマークが残って見える“大きな幼魚のイワナ”がまた一味違った強烈な引きを教えてくれた。
戻る