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  研修医の感想コーナーH22〜H23年度



【 H22〜23年度 研修された方の感想です。】


東京北社会保険病院初期研修医1年目 松金祐介先生

平成24年2月から1
ヶ月間国保和良診療所にて地域研修をさせていただきました。東京北社会保険病院は初期研修ローテートで地域研修が3か月あるという特色ある病院で、その一環でこちらで研修させていただく機会を得ることができました。そのうちの1ヶ月間を今回の地域研修で、残りの2ヶ月は8月と9月に再び和良で研修をさせていただく予定です。

私自身は出身が九州で積雪はあまり経験がなく、郡上市に来たときに目の当たりにした雪景色に驚きました。また朝晩の冷え込みの強さを体験し、豪雪地帯に住む人たちの苦労を身をもって感じることができました。

1ヶ月間は短い期間ではありましたが、様々なことを経験できました。特に印象が強かったのは在宅で末期がん患者の看取りに立ち会えたことです。何回か往診で診察したり、輸血をしたりとさせていただいたときによそ者の私を温かく迎えていただきました。最期に近いときは意識が薄れていきコミュニケーションはとれませんでしたが、一つの死の形として在宅での看取りの体験ができました。

次回の2か月間の研修は、今回の経験を踏まえてさらに実りあるものにしたいと考えております。1か月間ありがとうございました。 


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タイ医学生(チュラロンコン大学)6年生 2012年2月6日〜2月10日


Punyawat Apiwatanakul さん

My name is Punyawat Apiwatanakul, 6th grade medical student from Chulalongkorn university, Thailand. For 5 days stay in Wara town, I've gained ideas and vision about primary care. It's so amazing that though Wara is a small town and quite rural, it's clinic is not that small but well-equipped. The equipment in the clinic is enough to diagnose the common disease and screen cancer before referring to secondary care. This will decease the workload for larger hospital. Moreover, the officers and doctors here work by their hearts to promote residents' health. They have the health promotion program leads by its own people. The doctors are up-to-date as they have the journal club every Friday. As the elderly are increasing, this clinic provides a good place for elderly care and rehabilitation.
Here I have a chance to go sightseeing in Shirakawago, Takayama, and byoutenkanomori. It was amazing and stunning, and it is sure a great experience for me. hope I could have a chance to use my experience here and adapt it with the primary care in my country.
Thank you very much for the warm welcome through out my stay here.


Pajeemas Kittipanya-ngamさん

My name is Pajeemas Kittipanya-ngam. I am 6th year student of faculty of medicine, chulalongkorn university, Thailand. I stayed in Wara town for 1 week to study community and family medicine. At wara clinic, I met a lot of people who are so kind to me. I got very warm welcome. The doctors taught me many things. The medical officers took care me very well although I can't understand Japanese. We enjoyed cooking, having lunch together and also sight seeing in Gifu area. In my opinion, wara clinic doesn't look like a rural hospital because there are a lot of modern technological devices. I've never met such a modern hospital like this in rural area of Thailand. At last, I would like to thank you very much indeed for everything. These would be my good memory of Japan for a long time.


  Varisara Pornprasertchai さん

My name is Varisara Pornprasertchai, Vee. I'm a 6th grade medical student from Chulalongkorn university, Thailand. I've been studied here for only 1 week, from 6-10 february 2012, but this was a fantastic 1 week I had. At first, my opinion to Wara clinic was just a rural area's clinic that so far away from the city. When I had a chance to go around and see how this clinic worked, my opinion has changed.! Wara clinic is not just a usual rural area's clinic. All the technologies, eqiupment and of course, perfect personnels you've got make this clinic like a good hospital for Wara's people.
Finally, I appreciated everything in this town; people, food, Japanese Sake^^ and your hospital.Please keep this perfect way for long. Thank you for everything. Arigato Gosaimus!!


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竹谷祐栄先生 (市立奈良病院初期研修医 2011.11)

  
  私が今回和良での研修をさせていただくきっかけとなったのは、私が研修させていただいている市立奈良病院の総合診療科部長西尾先生の勧めでした。実は西尾先生と所長の後藤先生は自治医科大学の同級生であり、たびたび後藤先生の話は西尾先生から聞かされていました。そして10月、人と人とのつながりによって和良を訪れることになりました。
 実際に研修が始まってみると、私に与えられた業務自体はそれほど大変ではなかったと思うのですが、足りない知識・課題の多さに愕然とさせられました。また、今までの研修において、セルフラーニングの手法というものをきちんと勉強したことがなかったため、自身で課題を消化し、解決することができず、このままやっていけるのか不安になりました。しかし、1週間たったころより後藤先生や廣瀬先生、松久先生と一緒に勉強をさせていただくことで、徐々にセルフラーニングに慣れていき、研修後半には自身で課題について調べ、疑問をある程度解決に導くことができるようになったのではないかと思います。また、研修前に立てた目標もある程度達成することができたのではないかと思います。また、コメディカルの方々の仕事を体験させていただけたことも自分の中での考え方が変わり、良い刺激になりました。各部署の方々が少しでも良いものを患者さんに届けられるようにと努力されていて、本当に感心いたしました。また、和良と奈良を比べて考えてみて、自身が研修している奈良を見つめなおす良いきっかけにもなりました。
 和良を訪れて今までの研修で目にしてきた地域医療との違いを最も感じたのは、和良は地域全体をみようとしている点でした。もちろん他の施設でもヘルスプロモーションを積極的に取り入れたり、診療所にくる方々の社会的背景への配慮などをしっかりされていたのですが、診療所に来ない人々を含めた地域全体の医療を行っていくという視点は今までにないものでした。後藤先生の「本当に地域医療をやるなら白衣を脱いで診療所を出るところから始めなくちゃいけない」という言葉には本当に感銘を受けました。
 自身のこれからの研修を見つめなおし、病院に来ない人々へ思いを馳せることのできる医療が目指せればと新たに目標とする医療の形が変わりました。
 1か月という短い期間でまだまだ学び足りないとは思いましたが、本当に充実した1ヶ月間でした。どうもありがとうございました。

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市立伊東市民病院の研修医1年 山田智子医師(H23.10.31-11.6)

  
10/31から1週間和良診療所で研修させて頂きました、市立伊東市民病院の研修医1年目山田智子です。
医師になってから7ヶ月。私の研修先の病院では、1年目のローテーションの合間に1週間ずつ地域の診療所の研修があります。今回私の地域研修は3度目になりますので、診療所研修は初めての体験ではありませんでした。しかし、和良で特に印象に残ったことがあります。
それは、、非常に熱心な保健師さんが2名いらして、医師や他のコメディカルのスタッフと共に地域の保健活動にとてもアクティブに取り組んでいらっしゃることです。保健師さんは、地元の方ですので、ちょうど視点が医療スタッフと住民の中間にあると言えると思うのですが、地域の保健について、まさに“他人事ではない”姿勢で取り組まれており、発想や行動力の素晴らしさには本当に感嘆しました。
“健康日本21”の地方版ともいえる“まめなかな和良21”の完成度は高く、これが人口2000人の自治体で完遂されたことに驚きますが、もしかしたら2000人の規模だから“他人事”のプロジェクトにならずに、住民の方々の参加意識も高く維持できたのかもしれません。
しかし、そういった活動も診療所の先生方の惜しみないバックアップや他のコメディカルのスタッフの協力があってこそのものだと思います。
お互いの職種が互いを尊重し合って伸び伸びと仕事ができ、それが良い結果へとつながっているという姿はいわゆるお役所仕事とは真逆のものであり、この和良診療所が様々な意味で公的な存在であることを考えると余計にそのパワーの凄さを感じざるを得ません。一次予防の大切さを啓発していくことは簡単ではないと思います。人間はやはり痛い目や辛い目にあって初めて行動変容を余儀なくされるケースが圧倒的に多いのだと思います。
難題ではありますが、ある意味最先端の治療より最先端医療である一次予防。
これからも“予防を主として治療を従とする”のスローガンを大切にして、地域診療所の中でもキラリと光る存在であり続けてほしい思います。
最後になりましたが、短期にも関わらず、快く研修を受け入れてくださいました後藤先生をはじめとする診療所のスタッフの皆様、保健センター、老人保健施設のスタッフの皆様に心より感謝申し上げます。お世話になり、本当にありがとうございました。


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自治医科大学学生 岩田尚宏君(H23.8.24-9.2)

 
  「郡上といえば郡上踊り」というイメージで、和良町というとほとんどなじみのない中で始まった和良診療所での実習では、8日間という短い時間ではありましたが、地域医療について本当に多くのことを学ばせていただきました。外来や訪問診療の見学においては、地域医療に従事していらっしゃる先生方の働く姿を間近で見ることで、自分が将来求められる医師としての技術や能力に加え、どのような姿勢で患者さんと接すればよいかといったことも具体的にイメージすることができました。また、地域の皆さんと接する機会が、和良診療所での実習以外にも介護老人保健施設での実習や巡回バスへの同乗実習、「まめなかな和良21プラン」の一環である体操や保健推進委員会への参加など、数多く持たれており、私の「地域の皆さんと接する機会を持つ」という実習前の目標を達成することができました。加えて、大学病院の実習ではあまり関わる機会のない、薬剤師さんや保健師さん、栄養士さんや介護士さん、医事の皆さんとお話したり実際にお仕事を手伝ったりすることで、様々な職種の連携、つまり医療と介護、保健、福祉が連携してこそ医療は成り立つものだということを再確認することもできました。
今回の実習では、大学病院での実習では味わうことのできない地域医療の良さを実感することができました。施設長の後藤先生や実習を担当してくださった廣瀬先生をはじめとするスタッフの皆様、お忙しい中、学生実習に協力し、親身になって指導してくださって本当にありがとうございました。


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浦壁 昭悟君(岐阜大学医学部6年 H23.5.9〜6.1) 

 
私は、岐阜大学医学部6年の浦壁昭悟と申します。この度多くの方々のご支援のおかげで、2011年5月9日(月)から4週間、郡上市地域医療センター・国保和良診療所で選択制臨床実習をさせていただきました。この4週間にわたる実習の感想について、書きたいと思います。
  和良診療所は、介護施設(略称“老健”)と保健・福祉行政組織を含む郡上市地域医療センターの一部門であります。このセンターでは、これらの各部門が同じ敷地の中にあり、緊密に連携をとりながら、和良地域を中心としたへき地の地域医療・地域福祉を実践しています。
  私の実習は、まず第1〜2週は午前中1〜2個、午後は2〜3個程のプログラムがつまっていて、時間割が決まっていました。途中で空いている時間は、担当させていただいている患者様にお話しに伺ったり、自由に勉強・見学をすることができました。第3〜4週は、実習最終日の近くで発表する学習課題を決め、それについて調査・勉強し、最後に自己紹介・感想と一緒に発表することが課されました。学習課題の勉強の時間配分等は任せられていました。その他のプログラムは、前もっては決まっておらず、随時指導医の先生から見学するように言われたり、自分から見学を申し入れたりしました。
  前半の2週間のプログラムでは、へき地のプライマリー医療・地域医療の現場における、医師の業務、コーメディカルの業務、介護や保健・福祉行政の業務といった、このセンターならではの幅広い内容を見学・体験することができました。これらを通して、和良地域の特徴への理解を深めながら、一人の患者様の健康問題や福祉について、様々な職種の多くの人が、色々な観点から話しあい連携を取り合いながら、患者様の総合的なメリットを作り出そうとしていることを実感することができました。医師業務の実習では訪問診療については、実習開始前に特に見てみたいと思っていました。私は、家庭医を目指しており、この分野で訪問診療は重要な診療の場であります。患者様の健康問題を投薬だけでなく、家族関係を含めて生活環境・生活習慣の改善を通して実現するためには、ご家庭の様子を知る必要があるからです。私の担当患者様については、1週間程訪問診療に参加し、多くのことを学ばせていただきました。色々な観点からお話を伺い、身体診察をさせていただき、現状の問題(Problems)に対してどう計画(Plans)を立てるかを、本当の医師のように体験させていただきました。とても良い経験になりました。
  後半の2週間は、学習課題の調査・勉強に多くの時間を費やしました。課題は“和良地域:
なぜ男性平均寿命日本一になれたか”というテーマに決めました。実習開始前に和良地域が男性平均寿命で日本一になったことがあると聞いたことがあり、どのような地域なのかとても気になっていました。何か課題を決めるように言われたときにすぐに思ったこのテーマに決め、10日ほど調査・勉強しました。実際のところは、まず平均寿命とは何か、どのように計算するか、何がこれに直接的に影響を及ぼすかの検討に時間がかかり、和良地域の生活環境や地域の制度等のなかに、平均寿命を長くさせた因子があるかどうかについての検討までは到達できませんでした。今後もこのテーマを継続的に調査・勉強してきたいと思います。
 今回の実習で、後藤先生、廣瀬先生、西脇先生、松久先生、コーメディカルの方々、介護職、保健・福祉行政、医療事務の方々に大変お世話になりました。公私ともに楽しく充実した実習をさせていただきました。ありがとうございました。


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川尻真菜さん(岐阜大学3年生 H23.4.18-5.20)

 
岐阜大学3年生の実習で地域医療配属を選択し、およそ1ヶ月間、地域医療センターで実習させていただきました。大学の先輩には、「まだ臨床の講義も受けていない学生が、診療所で実習して意味あるの?」などと言われることもありましたが、むしろ学生だからこその視点で実習に取り組むことができ、地域医療について考えることができたと思います。
 この1カ月間、主に自分のテーマに向けた実習に取り組みました。テーマは「ひとつの家庭から見た地域医療」とし、担当の患者さんに向けた多職種のアプローチを見て、それらのサポートを受ける患者さん本人、そのご家族がどう思われているのか、インタビューを主に調べていきました。
 その中で感じたことは、地域医療は医療という枠におさまるものではないということ。福祉、保健、行政が一緒になり、住民の生活、健康を支えているということです。医師の立場としてみれば、病気という非日常では大きな存在になりますが、日常という中では本当に小さな存在でしかありません。病気の治療という仕事柄、当然といえば当然ですが、患者さんのほんの一部分しか知らないのだという自覚、そんな患者さんの生活をサポートしていくのに、多くの職種との協力が必要なのだということを理解するのは大切なことだと思いました。
実習を通して、また自分の決めたテーマに主体的に取り組んでいく中で、大学では学べないだろうさまざまな気づきを得ることができました。ここで学んだことを将来に生かし、これから医師になるために励んで行きたいと思います。


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東京北社会保険病院 研修医1年目 児嶋真千子先生 H23.4月


私はH23年4月11日〜16日までの1週間、和良診療所で研修させて頂きました。
3月に大学を卒業したばかりで、所属の東京の病院ではまだオリエンテーションを受けただけ、病棟にも出ていない段階での、和良での研修でした。
研修では、外来や検査、老健、保健センター、住民バス乗車、待ち合室実習など、短い期間に様々な体験をさせて頂きました。外来では大先輩の先生方の診察に見惚れ、看護師さんの手際の良さやちょっとした心遣いに感動し、老健や保健センターでは、容易に解決できない問題がたくさんある中で、それでも明るく懸命な姿が心に残りました。どのスタッフの方も、向上心が強く、また、情に厚い印象でした。
和良では、医療・保健・福祉と住民とが互いに顔の見える形で密接につながっていて、そのバランスが絶妙と感じました。その関係が築けたのは、きっとたくさんの方々の苦労と尽力があったからこそと思います。その重さをわずか1週間で理解できたとは全く思いませんが、これから自分が診療に携わっていく中で、じっくり理解できたらと思います。また、都市部であっても「地域医療」が実践されていくには何が必要か探っていくことを自分の初期研修のテーマの一つにしたいと思います。
地域は人の集まりだから、モヤモヤしたものやドロドロしたものがあって当然で、医療や福祉はそれを見ずに地域と向き合うことはできないと思います。しかしそういったわずらわしさの中にこそ、人間の面白さやかわいさも隠れているように感じます。
初期研修を終えた2年後に、自分がどこに立っているかも想像がつきませんが、そう遠くない将来に、そのわずらわしさへ飛び込んで面白い毎日を送っていたらいいなと思います。

初めて訪れた岐阜で、和良の人々の温かさに触れ、医師として良いスタートがきれたことを心から嬉しく感じると同時に、みなさんに深く感謝申し上げます。このご縁を大切にして、これからも頑張ります。本当にありがとうございました。


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タイ王国チュラロンコン大学医学生 Tanitnun Papradさん(2011.2月)


My name is Tanitnun Paprad, a six-grade medical student from Chulalongkorn university, Thailand. I had a really great opportunity to observed hospital system in Wara clinic for 4 days.
First of all, I'd like to thank you all of you for your program. I could see whole image of your hospital. In Wara town, there are many healthy aging people. This is because the health care system in your clinic is very good.I was surprised to know that this clinic has full options of investigation such as CT scan (which is not normally found in community hospital). I was really impressed with bus riding and house visit. This is very convenient for old people who can't come to hospital by themselves. People here are healthy and happy.


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藤原悠史先生(東京北社会保険病院 研修医 2011.3.16-3.25)


 和良診療所では2週間研修させていただきました。以前から興味のあった予防活動に力を入れている施設と伺っており、その現場を知ることができて非常に有意義な研修をすることができました。医師や保健師さんをはじめとした医療スタッフの方々ともに、街全体で「住民主体」の保健活動に取り組んでいる姿は新鮮でした。スタッフ・住民の方々のモチベーションの高さを見習い、これからの診療に励みたいと思います。初期研修の最後に和良で勉強することができて本当に良かったです。後藤先生をはじめスタッフの方々、和良の方々には大変お世話になりました。ありがとうございました。


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三倉 直先生(東京北社会保険病院 研修医 2011.5.10-6.3、2010.11.1-12.28)


私は岐阜県郡上市にある郡上市地域医療センター和良診療所で研修させていただきました。
 私が研修している病院では、「地域医療に必要な12の軸」というものを研修医一年目から教育されています。病院での実習を通して、12の軸を用いて日々の研修を振り返ったり考えるとよいのだと認識していました。実際外来で行動変容的アプローチを行ったり、入院してきた患者さんに予防に関してもアプローチするという機会は自分で気づくことが出来れば実践できました。
しかし地域で研修を行ってみると、用いて考えるというよりも、地域にいて目の前のことを対応していたら12の軸の要素が必要になる、といった印象でした。また振り返ったり勉強する時間が十分にあり、外来での発言一つ一つを振り返ったり、一人の患者さんのいつの問題について長く考えられたり、研修医が仕事を任される病院ではできないことが多く経験できました。まるで学生のような立場ですが、日本の医学教育としてはこのような勉強をする必要があるのにする機会が与えられていないと感じました。また診療所、かかりつけ医という役割の医療機関を訪れることで、患者層の違い、遭遇する問題の違いなどにも気付かされ、病院ではほんの一部の世界しかみていないのだと気付かされました。
 その広い世界の中で、様々なことが実は入れ子になっているということにも気付かされました。地域全体も、目の前の患者さんも、行動変容という点で実は入れ子構造であったり、EBMの手法とメタアナリシスを読む方法が入れ子だったり、違うものを診ているはずが同じ手法であることが分かりました。
 医師が「診断する」というと患者さんだけかと思いがちですが、PRECEED-PROCEEDモデルを考えてみると、地域診断、組織・運営診断、環境診断など人の生活を考えるといろんな要素が必要になり、それを考えるには複雑な組織構成となっている都市部よりは地域のほうが考えやすく、臨床研究もより地域住民に根ざした形で行い易いと気づきました。
 都市部で地域住民のことを考えていくには、様々な医療機関の連携が必要であり、そのシステムづくりが今後日本の都市部医療には求められるのではないかと思いました。昨今、医師不足を背景に初期臨床研修制度そのものの存在を否定する声もありますが、違う機能を携わる医療機関で経験することは人の健康を理解する上では欠かせないし、医師が誰しも将来かかりつけ医になる可能性があるとすれば、患者さんにとって有益であると実感しました。 
 正しいかどうかはわかりませんが、和良診療所は「精神と時の部屋」です、と言ってみます。「精神と時の部屋」はドラゴンボールに出てくる孫悟空たちの修業の場で、カリン塔という塔の上にあります。そこでは普通の世界より時間が過ぎるのが遅く、また重力などが違い修行に最適の場とされています。
 ただそこにいる、ということ。それが地域医療であるのかもしれません。こう言ってみるとますます精神と時の部屋で悟りを開こうとしている孫悟空のようです。Mrポポ、ではなくてDr後藤に会いに行きたくなる、しかし峠を越えて和良診療所(カリン塔)まで行かなくてはならない。そしてときどきMrポポが「地域医療がしたいから地域にいるわけではない」と禅問答のような問いかけをしてきます。病院ではあっという間に過ぎ去っていく患者さん一人が、ここでは何十倍も振り返るので勉強になります。精神と時の部屋のように何十倍も時間がたつのが遅いのでしょうか。今まで気にすることができなかったことが気になってきます。ピッコロ大魔王、ではなくてDr廣瀬が精神と時の部屋での修行に付き合ってくれます。


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岐阜大学付属病院研修医 植野仙経先生(H22.8.2-8.27)


地域医療研修として8月の約1ヶ月間,和良診療所で研修をさせていただきました.私が研修先に和良診療所を選んだのは,もっとも“地域医療らしい”研修ができると期待してのことです. 研修の前は,地域医療とは物的・人的な資源に乏しい状況下での医療であり,医師には全科的な対応能力と高次医療機関への搬送にかんするトリアージ能力が求められると考えていました;一次〜二次の救急医療めいたイメージを地域医療に抱いていました.
 しかし研修を経てこのイメージは変化しました.もちろん救急医療的側面も地域医療には含まれます.短い研修期間のあいだも,意識障害や熱中症,動物咬傷,脳梗塞の患者さんなどが外来を受診され,入院あるいは高次医療機関への搬送の適応となるケースもありました.しかし,それに加えて外来では生活習慣病や在宅酸素療法中のCOPDの患者さんなど,慢性疾患の診療にもあたります.
 また診療所には介護老人保健施設ならびに郡上市社会福祉協議会の支部が併設されており,老健の入所者の健康管理や健診・予防接種なども診療所の日常的な業務となります.さらには訪問診療・訪問看護のみならず,たとえば市主催の地域医療研修会,あるいは介護保険や認知症にかんする住民の学習会など,医療が関わる領域であれば何にでも,診療所の先生方は参与し中心的な役割を担っておられました.この1ヶ月,その姿に間近に接することができ,また「とりあえず何か(医療・福祉で)困ったことがあればここ(診療所)にくる」等の住民の声を耳にすることで,私なりに“地域医療らしい”研修ができたようにおもいます.
 余談になりますが,この和良町に来て,私は生まれて初めて鮎というものを食べました.和良川の鮎は日本一だとのことですが,とにかく大変おいしくいただきました.鮎と,郡上踊りを踊ったこと.この2つが,もしかするとこの1ヶ月で最大の収穫だったかもしれません.
 最後になりましたが,暖かくご指導いただいた診療所の先生方,老健・健康福祉課のスタッフの方々,そして診察への陪席ならびに初々しすぎる診療を寛大に受け入れてくださった住民の方々に,御礼申し上げます.ありがとうございました。


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伊東市民病院 研修医 矢野亮介先生(H22.8.2-8.6)


  美濃や郡上など岐阜県の長良川上流の地域は好きで学生時代に時々訪れ、和良診療所が近いと知った時に何か親近感が湧いた。和良町は最寄り駅からも1日数本しかないバスに30分以上揺られながら峠を越えないと辿り着けない所にあり、いわば車を運転できなければ閉鎖された人口二千人の町である。この診療所の特徴のひとつは、積極的に健診を行うだけでなく、住民と話し合いながら健康づくりについて考えようとしている所だと感じる。だから地域の人々が集まるところにも積極的に顔を出すし、まめなかな高齢者サポーターといったヘルスボランティアに関心をもった人たちの養成にも力を入れる。一見当然のことではあるが、意外と多くの場所では行政の考えがトップダウンに政策に反映されることが多く、それは住民が実際に問題と感じていることと違ったり、または理解できていなかったりする。一週間という短い期間ではあったものの、農家の人やバスの運転手さんなど地元の人とたっぷり話すこともでき和良町の形を大まかに把握できた。また、保健士の方々のお話もお聞きしながら、ボトムアップなアプローチの難しさを再認識したものの、「ハッピーに生きてゆく」上でそれに影響する様々な因子をコミュニティの人たちがコントロールできるようになってゆくことこそが真の「開発」であり、地域というコミュニティの一種ではそのようなアプローチを取りやすく、医療従事者というのはそのバックステージファシリテーター的な役割を演じることができると改めて強く感じた。診療所、老健、健康福祉課のスタッフ、そして和良町の皆さまにはお忙しい中も色々なお話をしていただいたり貴重な体験をさせていただいたり、大変お世話になりました。どうもありがとうございました。


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岐阜県総合医療センター研修医 加藤丈博先生(H22.6.14-7.9)


 地域研修の1ヶ月間、和良診療所で研修をさせていただきました。あっという間でしたが、地域医療を十分体感することができました。研修の内容としては、初めの1週間はカリキュラムが組まれており、その後自分の希望に応じてやりたいことをさせていただけます。そのため、「何をしていいかわからない」といったことはありませんでした。また、スタッフの方々も温かく、気軽に相談でき、指導を受けられました。例えば、薬剤の調剤のデモや整形リハビリの体験、実際の健診体験、栄養教室参加などもできました。また、研修期間中は、外来業務や、在宅医療、出張診療所といった医療の枠だけでなく、機会があって郡上市の市庁舎での健康福祉推進計画職員研修会や、地域住民の方とのワークショップ活動にも参加できました。センターで行われている「地域のみんなで協力して疾患を予防していく」という「まめなかな和良21プラン」計画はとても強く印象に残りました。郡上地域医療センターの価値観の一つに「予防を主とし、治療を従とする」といったものがありますが、医療・福祉・行政・住民の方々が皆で健康作りに取り組まれている活動に、少しの期間ではありましたが参加することができたのは、非常に良い経験になりました。
 最後になりましたが、後藤先生・廣瀬先生・松久先生・そして西脇先生、さらに診療所・老健・健康福祉課のスタッフの方々、温かく指導してくださり大変ありがとうございました。


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岐阜大学 6年生 山内淳一君(平成22年6月7日〜7月1日)


  私が和良診療所での実習を希望したのは、今まで地域医療というものを経験したことがなく、地域医療とはどういったものなのか、という事を知りたいと思ったからです。
 そもそもこうして和良での実習をするまで、私は地域医療とは訪問診療だとか地域で診療行為さえしていればそう言ってしまってもよいものだと思っていました。しかし、実習を終えた今、そうした治療行為イコール地域医療というのは大きな勘違いであったと言わざるを得ませんでした。実際にはここそうした行為に留まらず、「まめなかな和良21プラン」において学校などの地域機関や保健士の方々と連携して地域全体で健康対策を推進しており、このあたりはこの診療所で言うところの「予防を主とし治療を従とする」という理念を体現していました。地域医療というのは個人に視野を絞った診療行為ならばその個人の生活環境や隣人との関係を把握しようとすること、地域に焦点を広げるならその地域の住民の性格をちゃんと捉えたうえで、密接に付き合っていこうとする姿勢を以って行う医療なのだと認識を改めました。
  こうした医療を推進される診療所のスタッフの方々、そして住民の方々のパワーに圧倒されるばかりではありましたが、ここでの実習は医師としてどういった姿勢で診療にあたっていくかということを考えていくうえでの大きな助けとなっただけでなく、医療というのは受ける側のパワーによるところが大きいということを理解するきっかけとなりました。後藤先生、廣瀬先生、西脇先生、松久先生、加藤先生、ならびに診療所のスタッフの皆さま、一ヶ月ありがとうございました。


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岐阜大学6年生 高橋知也君(2010年 4月 1ヶ月間)


  僕が和良診療所を院外実習の実習先として選んだ理由は、何か大学とは違ったことが体験できるのではと思ったからです。5年生の時に大学病院の各診療科を一通り回って、市中の大きな病院がどのような診療をしているのか、見ることができました。なので、6年生では5年生の時にはできなかったことをしたいと思いました。5年生の時にあまりよく分からず、かつ医療を行う上で見過ごすことのできない地域医療を体験しようと、地域医療に積極的に取り組んでいる和良診療所での実習を希望しました。
 和良診療所に来て、地域医療で最も特徴的なのは、地域に密着していることだと思いました。特に、和良町の方をほぼ全て和良診療所が診ているので、和良地域の患者さんの全数を把握することができています。また、各患者さんの疾患以外の生活面も知ることができています。これらの事をしっかり数値化し管理することで、地域の疾患の傾向・診療方法などから、患者さんに対してより患者さんの立場に沿った治療をすることができるのだと思いました。
 和良診療所の先生方はとても優しく、また自分の考え方をしっかり持って診療にあたっていらっしゃるのが印象的でした。知識を集めることにも熱心で、またその知識を回りに伝え、生かすために地域の勉強会を積極的に開いておられました。僕をその勉強会に連れていてくださり、行政の方面から医療を知ることができました。1ヶ月という短い間の実習でしたが、医師になった時にどう振舞っていくべきかを強く考えさせられると貴重な実習となりました。
 和良診療所の先生方、また、和良地方の医療に携わっている全ての職員の方々、とても有意義な実習をどうもありがとうございました。


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