うなぎ | 竿の付いていない仕掛けやから“釣った”っていうのはどうかと引っかかるが、“たくり”も漁のうちなんで記録しておく。最初はヤスで突いた。 小学生の頃オヤジのアユ釣りに付いていって堰堤直下のちちこをヤスで追っていた。まぐれでウナギを見つけ、突いたはいいが腕に巻きつかれて落っことし、オヤジを呼んでどうにか捕まえた。今日びこんなことをしている小学生はまずお目にかかれない、漁協の監視員に「アユを狙っておったやろ!」と大目玉をくらうのがせいぜいや。自分が漁協の組合員になって、小学生にお説教を垂れる立場になるかもと思うと、先人達が見逃していたとういうかそんな子供のやることまで目くじら立てて相手にしなかったというのは、社会として今よりも“文化的”だったんやろな。理科の時間に教科書を読んでパソコン画面を眺めるよりも、ヤスで突いた魚を食えるのかどうか知りたくて自分で調べるほうが“教育”として優れていたのかも。 潜れるようになったら今度はウナギの“石”探し。水面に出ている大石でも、水中の石でもウナギの隠れ家となるような水流がよく通り、奥が深い穴を持つ石を探した。昼間水遊び中にウナギを見かけたなぞという時は、探し回って見当をつけておく。水遊びの帰りがけにごとちやちちこ、どじょうなぞを数匹捕まえて帰り、さしこみの仕掛けにして夕方オヤジをせっついて仕掛けて回った。翌朝掛かっているというのは稀であったが、時には思わぬ大物がかかり、捌きたての活きキモを飲んだり、蒲焼に齧り付いたりと天然の味を堪能した。 ただこの漁は必ずといっていいほど外道ではざこが食いついて仕掛けを食いきられ口惜しい思いもした。天然記念物なので殺すわけにも行かず、かといってこじ開けても口を開くようなヤツでもなく、うなぎ糸を食いきることのできないサイズ(50cm未満くらいか・・)のはざこはやむなくうなぎ糸を切って川へお帰り願った。 |